神様、この恋をよろしくお願いします。

急いで来た道を走って教室に戻った。

余裕持って着くようにしてるから、忘れもの取りに戻ったぐらいじゃ遅刻することはなくてそれはよかったと思った。
だけど、みんなそうだから教室に戻った時には全然いなくて委員長だけがまだ残ってた。

「委員長、ゆっくりだね」

「黒板消してたら遅くなっちゃって」

「そっか、さっきの授業黒板いっぱいだったもんね!」

机にしまってあったファイルからプリントを取り出した。
よかった、やっぱちゃんと持ってきてた。

「宝条さん、電気消すけどいい?」

「うん、もう行くからいいよ!」

委員長が教室を出る後ろを続くように教室を出たから、なんとなく流れで委員長と理科室に向かうことになっちゃって。

それは全然いいんだけど、委員長は話しやすいし、いい人だし…

今あたしが話したいことは委員長にしか聞いてもらえないかなってちょっとだけ力が入っちゃった。

「宿題、難しかったよね」

「あ、うん、難しかった!」

さすが誰にでも優しい委員長、気まずい無の時間を作らないために当たり障りない会話を振ってくれる。

でもそんな話より、聞きたいことがたくさんあって、言いたいことがいっぱいあって、出だしの声が大きくなっちゃうぐらい変に気合いが入っちゃった。

「あのっ、委員長に聞きたいんだけどっ」

「何?」

変わりない委員長の声はそのまま、悟ったかのようにあたしを見た。

「悠の事?」