神様、この恋をよろしくお願いします。

お弁当を食べたら水族館、入り口のところにクラスごとに並んでいっちゃんが人数を数えてる。

全員が揃ったらやっと中に入れる。

本当はナナと見るつもりだったけど、いい感じそうな2人を見たら天貴くんと回って来なよ!って口に出しちゃったから…

必然とあたしも1人で見ることになった。

でも相沢くんも水族館は1人がいいって言ってたし、案外楽しいかもしれないし。

水族館だもん!ペンギンもいるし、ラッコもいるし、1人じゃない!

「なんだよ、お前も1人かよ」

なぜかうざったそうにこっちを見ていた。

てゆーか1人でいるのを見られた。

「………相沢くんだってじゃん」

「だからお前もって言ったし」

「…その返しおかしくない?」

「なんで?合ってるだろ?」

合ってると言えばそうだけど、そこは普通はイヤミっぽく返すところなんじゃないの?

相沢くんの思考回路はわからない。

「なぁ、シャチってどこ?」

あたしだってここに来るのは数年ぶり、急な質問に咄嗟には応えられなくて制服のポケットにしまった館内マップを取り出して開いた。

「え、シャチは…北館の方だから連絡通路渡ったあっちだよ。こっち南館だもん」

「連絡通路ってどこ?」

「連絡通路はここまっすぐ行った先の…ってマップ見たらわかるよ」

「ねぇもん、それ」

「いっちゃんにもらったじゃん!」

バスの中で配られた館内マップ、持ってないはずなくてそれは絶対(はな)から持って来る気がなくてバスに置きっぱとしか考えられない。

「…てゆーか相沢くん、シャチが見たいの?」

「うん」

すっごく素直な返事が相沢くんに似つかわしくなくて、あたしもちょっとだけ嘘を付いちゃった。

「じゃあ一緒に行こうよ、あたしもシャチ見たいと思ってたんだ」