「近づきたいって、隣にいたいって思っているのは、オレのほうだよ」

「……」

「わかってる?どんな外見になっても、キミはいつも『キミ』だった。話し方も、仕草も、キラキラした瞳も」



徹平くんはぐいっと目元を拭って、こう続けた。



「誰でもない、キミといたい。オレが好きなのは、キミ自身だから」



視界がゆらゆら揺れる。

顔が真っ赤になってくる。



「オレのそばにいてよ」



徹平くんは涙声のままそう言って、私をぎゅっと抱きしめた。



嬉しくて。

体がふわふわして、現実味がなかった。

だけど、徹平くんの背中に回した腕から。

重なる鼓動の音から。



架空じゃない。

現実のことなんだ、と実感する。



「好き、徹平くん」



ぎゅうっと腕に力をこめる。



徹平くんは「あはっ」と笑って、
「嬉しい」
と、呟いた。