インビジブル・ブルー

止めどなく涙が溢れた。

涙などとっくの昔に枯れ果てたと思っていたのに。

なりふり構わず突っ伏して泣いた。

どれだけ泣いても、次々と溢れ出す感情と涙を抑えることができなかった。

レイの笑顔が見たかった。

彼女にもう一度会いたかった。

幻でもいい。三人の幸せな未来を夢見ていたかった。

僕は廃人のように項垂れたガクを押しのけ、アトリエからレイを連れ出した。

ガクはもう、何も言わなかった。

僕はレイを抱きあげた。

抱きしめると、まだ心臓の鼓動が聞こえてくるような気がした。

「パパ」と笑う少女の声が聞こえるような気がした。

レイの頬が涙の跡で濡れていた。

それは、少女がたった今まで生きていたことの何よりの証だった。

それを奪ったのは、他ならぬ僕だ。

僕が、レイを殺したのだ。

ふと背後に人の気配を感じた。

振り向くと、彼女が立っていた。

僕が手を伸ばすと、彼女は微笑みながら一歩後ずさった。

僕はレイを背中に背負い、彼女の後を追いかけた。

真っ青な空の中を彼女は歩いていた。

それでも僕は追いかけた。

躓いて地面に肩から倒れ込んだ。

魂だけが空に浮かび、乖離した肉体だけが大地に引きづり込まれていくような、そんな不思議な感覚に包まれた。