インビジブル・ブルー

僕は呆然と空を見上げた。

あまりの馬鹿さ加減に、心底自分がちっぽけな存在に思えた。

左の手のひらを開くと、レイから受け取った小さな石が澄んだ光を放っていた。

レイの温もりを感じた。

僕は筆を持ち替え、そしてカンバスに書き足した。

それは、見渡す限りの青空のもと、寄り添うように立つ三人の姿だった。

一人は背が高く、一人は髪が長く、一人は少女だった。

三人は手を繋いでいた。

少女が母親に何か訊ねていた。母親は笑顔で少女に答えていた。そして父親はそんな二人を優しく見つめていた。

僕は思わず目を閉じた。

本当に僕は、いったいどこでボタンを掛け違ってしまったのだろう。

彼女は何を思って逝ったのだろう。

レイはなぜ、死ななければならなかったのだろう。

なぜ僕は娘を救ってやることができなかったのだろう。