すべての音が消えていた。

風の音も、ガクの悲鳴も、心臓の鼓動でさえも、いつしか僕の五感には何一つ届かなくなっていた。

息すら忘れていた。

ただひたすらに、手だけがまるで別の生き物のように動いていた。

カンバスには、一面の野原を真っ青な空が包んでいた。

僕は笑っていた。

きっと、笑っていた。

これで僕は死ねる。彼女やレイが待つ世界に行ける。

僕は見つけたのだ。

心の闇も、消してしまいたい過去も、見えない未来も、何もかもを浄化し、無に返すインビジブル・ブルーの世界を。