鼻息も荒く立ち上がったのは、猪獣人のサリ。

「言いに行ってもいいけど、また陛下に追い出されちゃうよ」

 アイメとマァレが『ねー』と顔を見合わせて笑う。

「邪魔すると後が怖いもんねー」

「だよねー」

 彼女たち五人は、エスタレイクの王妃ナディアの専属メイドだった。もとは城でほかのメイドたちと仕事をしていたのだが、エセルにナディアの世話係として命じられたのだ。

 城に滞在するちょっと変わった人間だったナディアが、今やエスタレイクの国王、ゲルハルトの最愛のつがいである。