ナディアが寒さに弱いと聞いて心配したメイドたちはさらにもこもこした白い羽織を着せようとしたが、さすがにそこまでは必要なさそうだった。

 もしも逆の立場だったら、人間はもっと獣人に偏見を持って待遇など考えもしなかった。それを思うとナディアは人間という種族が恥ずかしくなる。

(私も考えを変えていかなくちゃ)

 前世のナディアなら慣れるまで時間がかかっただろうが、ここにいるのは一度の死を経て少々吹っ切れたナディアである。

 積極的にメイドたちとかかわり、獣人について尋ね、自身も人間とはどういうものかを話した。