「はー、完全に油断してた。まだバレるわけにはいかねぇのに」


俺はマスクを拾いながらそばの階段に腰を下ろした

瞳に、揺れる川の水面が映る


「…何が正しいのか、わかんねーよ」


目を伏せて、ぼそっと呟く


「あの、栗栖さん」

「何?今イライラしてんだけど」


仲間、一言で言えば部下のような立ち位置にあたる男に名前を呼ばれ、
イライラしたまま俺は顔を上げた。


「…えっと、その、来てくださりありがとうございます」

「はぁ…あれぐらいお前らで何とかしろよ。あんな雑魚のために俺を呼び出すな」

「す、すいません…頑張ります」


文化祭1日目も終わって疲れて部屋で休むつもりだったところに連絡が来てただでさえイラついてるのに、俺のイライラはMAXだった。


「じゃあもう帰るから」


ため息をついて、
心底めんどくさそうにそう言いながら背を向けた

もう24時を過ぎた。
明日も文化祭で朝は早いし、さっさと帰って寝よう

勿論とっくに寮の門限は過ぎているのでそっと裏口からバレないように戻る。


『あ、天音くんおかえり』


もうみんな寝てるかな。

なんて思いながら寮に戻ったら、

1番予想外な、胡桃ちゃんとロビーでばったり会った。