「あれ？」

　今現在、お昼休憩なんだけど……。

　生徒手帳がバイブレーションしているのに気付いた。

　何だろう？と思って見てみると、画面には《理事長》の文字が映っていた。

　もしかして魔術の件かな……と推測して席を立つ。

「どうした？　栞。」

　疾風君にそう言われて「お手洗い行ってくるね。」と二人に告げた。

　誰にもバレないような場所を探りながら、速足で教室を出る。

　時間的にもうそろそろ休み時間終わるのに……。

　そう少し焦りながら空き教室内に入った。

　ピッとボタンを押して、手帳を耳に当てる。

「はい。栞です。」

　万が一のことを考えて偽名を使った。

　これで理事長じゃなかったら怖いし……。

《あぁ、神菜さん。急で申し訳ないね。》

　相手は、やはりというか理事長本人で間違いなさそうでバレないように安堵の息を吐く。

　……申し訳なさが感じられないけれど。

　それにこの人も、私のことをところ構わず本名で呼びそうで怖い。

　……とにかく、用件を聞いてしまおう。

「どうしたんですか？」

　何を言われてもいいように、落ち着いて理事長に聞く。