疾風君はどうしてか固まっちゃった。

 ど、どうしたの疾風君っ!?

 おろおろしている私に我に返った疾風君が聞き返した。

「い、いいのか……?」

 戸惑いを含んだ目で私を見る疾風君を、少し可愛いと思ってしまった。

 見た目こそ不良さんみたいだけど……そんな事はない。

 むしろその逆。とても良い人だって思ってる。

「うん!」

 私は疾風君に大きく返事をして疾風君が開けていたコンビニのお弁当の蓋にのっけた。

 疾風君は少しじーっと唐揚げを見ていたけど、お箸でつまんで口に入れた。

 じ、自分からあげたくせに凄く緊張する……。

 でも食べられるくらいには……でも心配っ!

 そんな葛藤をしていると、疾風君が興奮気味に言った。

「栞、美味すぎる……。」

 うん、そうそうあんまり美味しく……え?

 今、美味しいって言った?

「本当?」

 恐る恐る聞き返すと疾風君が「すっげー美味い!」と言った。

「僕も食べたい~! しーちゃん、僕にもちょうだい?」

 和向君がそう言ってきて、少し驚いたけど「うん! はい、どうぞ!」と言って唐揚げを和向君のお弁当に入れた。