最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 まだ朝早いから、出歩いている人自体少ないのかな?

 それに……和向君と疾風君は寮生だって言っていたから、もしかしたら他の生徒さんも寮なのかも。

 でも……理事長は寮について何にも教えてくれなかったし、別に気にしなくても良いのかな……?
 
 私はまた増えた疑問をぶつけるあてもなく、そのままぐるぐると考えながら学園まで歩いた。



 ガラッと教室の扉を開けて中に入る。

 だ、誰も来てない……。まぁまだ七時半前だしね……。

 昨日編入してきたばかりだから、凄く早く来てしまった。

 明日からは、もっとゆっくり来ようっ。

 教室内には、シーンとした静寂が流れている。

 私はこの雰囲気が一番好き、かもしれない。

 朝は一番落ち着けるし、何より魔力が適度に漂っているから。

 窓に近付いて、窓を半分開けて換気をする。

 誰が来ても困らないようにに、電気もつける。

 その時、背後から声をかけられた。

「おはようございます、神菜さん。」

 突然発せられた声に、肩を跳ねさせてびっくりする。

 慌てて振り返ると、そこにはある人の姿が。

「創さん……おはようございます。」

 気配を全く感じなかった……。

 ふふっと微笑みを浮かべている創さんの周りからは、ほんのり魔力の跡が漂っている。