最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 しばらくの間、沈黙が部屋に流れる。

 何も話さない俺にしびれを切らしたのか、翔葉がこう言い放った。

「どうせ、ピアスでも失くしたんだろ。」

「……何で分かった。」

 こいつ……俺の胸中でも読んだか?

 そんな俺に、ふっと笑った翔葉。

「顔に出てるんだよ、分かりやすいくらいにな。」

 俺、そんなに分かりやすい顔してるか?

 俺は基本的無表情だ。だから感情が分かりにくいと、誰からも言われてきた。

 翔葉はどうして分かった?

 考え込んでいる俺に、翔葉は俺の気も知らないで続ける。

「何年幼馴染してると思ってるんだよ。」

 ため息交じりにそう言った。

 ……確かにな。

 そう言われると自然と納得が出来た。

 こいつは……人一倍感情に敏感だもんな。

 ピアスのこともバレているし、もういっそ言ってしまうか。

「その女子が俺のピアス渡してきて――」

「ちょっと待て。」

 ……どうして止める?お前から聞いたんだろう。

「……何だ。」

 俺がそう聞くと翔葉は、これでもかというほど驚いたような顔をしていた。