最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

「今日は何かあったのか?」

 いつもの変わらぬ質問を俺に投げる翔葉。

 昨日までなら「特に。」と言っていたが、今日は違う。

「二年生の地味な女子のこと、教えろ。」

 ピアスを失くした、という事を伏せてそう尋ねる。

 翔葉は情報には強いほうだし、分かるだろ。

「……は? 急に何?」

 俺の言葉に、あからさまに驚いている翔葉。

 その間抜け面といったら……。

「お前、凄い顔になってるぞ。」

 こいつ、基本無表情かにこにこしてるのに……こんな顔もできたとは。

 俺の皮肉を聞いた翔葉は我に返り、すぐにいつもの無表情に戻す。

「お前から他人のことが出てくるなんて……思うかよ、普通。」

 吐き捨てるようにそう言った翔葉。

 俺だって自分自身のその変化についていけてないってのに……お前に分かってたまるか。

「で、本当に急に何でそんな事聞くんだよ。」

 翔葉が冷静になって再度聞いてくる。

 あの事を話したらピアスの事も話さなくちゃならなくなるだろうな。

 そう思うと、急に話したくなくなった。