最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 俺が考え事をしている間に、女はそそくさと中庭を出て行ってしまった。

「おい……!」

 そう言ったが、女には聞こえてないようで逃げられてしまった。

 名くらい、聞いておけば良かったか……?

 そうやって後悔するのもおかしい。

 どうして俺は……こんなにあの女が気になっているんだ?

 ……“あいつ”に聞いてみるか。

 俺はそう思うことにして、中庭を後にした。



 寮に帰り、荷物をソファに放り投げる。

「はぁ、ただいま、くらい言えないんですか? 新は。」

 声のしたほうに、視線だけを向ける。

 相手が分かってすぐに視線を逸らす。

「何でお前がここにいるんだ。翔葉。それと……執事スタイルやめろ。」

「……ったく、お前はいくつになっても変わらねぇな。」

「それはこっちのセリフだっつーの。」

 こいつは俺の監視役、小鳥遊翔葉(たかなししょうは)

 神々家直々の専属執事で勝手に俺の監視役にされている……が。

 そんなの、俺も翔葉も迷惑だ。

 第一、俺たちはもうガキじゃない。自分のことくらい、自分でできる。