最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 もしかして、このピアスは彼のものなんじゃないかな?

 私は小物入れを持って、中庭の扉をゆっくりと開けた。

 小物入れからピアスを出して、彼に近付く。

「あ、あの……。」

 彼が私の声に気づいて、視線を私のほうに向けた。

 ……っ。

 私は一瞬、息をするのを忘れた。

 だって、彼の容姿が途轍もなく整っていたから。

 黒に紫紺色メッシュのさらさらな髪に、切れ長の青紫の瞳。

 薄い唇に、筋の通った鼻。

 すらりと伸びている手足で、理想ともいえるモデル体型。

 オーラが普通の人とは段違いで、威厳が漂っているように見えた。

「……。」

 彼は無言で私のことを見つめる。

 それが、何だか驚いているように見えたのは気のせい……?

 私と彼の間に沈黙が続く。

 じ、自分から話しかけておいて……緊張する。

 とっ、とにかくピアスの事について聞こう!

 私は意を決して、微かに震えている唇で言葉を発した。

「これ……もしかして、あなたの、ですか?」

 彼の前に、恐る恐るピアスを差し出す。

 うー、緊張する……。

 私がピアスを見せた瞬間、彼の瞳が驚いたように大きく見開かれた。