最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 あの後、西棟、北棟、東棟と回ってみた。

 だけど、生物学室ほど強くはなく、不思議に思いながら歩いていた。

 最後に中央棟に向かって歩きだした。

 その時、ふと中庭に視線を移してみる。

 ……あれ?

 私はそこで、ある人影を見つけた。

 男の人……?

 よく見ると、制服を着ていて上履きに入っているラインが紫だった。

 紫ってことは……三年生?

 ちなみに高等部では学年で上履きのラインの色が異なっている。

 一年生が赤、二年生が青、三年生は紫だ。

 彼はベンチに腰掛けていて、空を仰いでいる。

 眉間に皺を寄せ、何かを考えているようだった。

 でも、この時間に生徒さんがいるのはおかしい。

 だってもう、下校時間は過ぎているし、下校時間後の二時間は生徒が校舎内に入れないようになっている。

 だから、生徒の姿は見かけていない。

 ……彼、以外は。

 その時、彼の左耳が見えた。

 あれって……。

 彼の耳たぶには、今私が持っているピアスと同じものがついていた。

 右耳も見えたけど……何もついていない。