最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 必死に、苦し紛れの言い訳をする。

 振り返って考えると、今日一日だけで何回言い訳や嘘を吐いたか分からない。

「そっか~。……じゃあまた明日ね、しーちゃん!」

「栞、また明日な。気を付けて帰れよ。」

 二人はそう言って教室の外に出た。

 罪悪感を感じながらも、それを隠すようにして二人に向かって手を振る。

「ば、バイバイ二人とも!」

 二人の姿が完全に見えなくなったところで、はぁ……とため息を吐いた。

 新しい学校でできた新しい友達に、まさかこんなに嘘をつく事になるとは。

 二人は良い人だし、魔術師の事が最悪バレても秘密にしておいてくれそう。

 そう思えるのは、何気ない二人の気遣いがあるからこそだと思う。

 だって二人は私が言い訳をすると、納得できないと思っていてもそれ以上突っ込んでこない。

 だから、二人にはいつか私の正体を言って謝りたい。

 嘘を吐いていてごめんなさい……って。

 出会って間もないのに警戒心がなさすぎるって思われても、いい。

 こんなに優しい人たちなんて、早々いないから。

 私が地味子で冴えないのに、話しかけてくれたから。