教室内に入ると、もうほとんどの生徒が戻ってきていた。

 う、遅かったかな。

「遅かったな、栞。」

 案の定、疾風君にそう言われてしまった。

 でも、チャイムがなってからそんなに時間経ってないはずなんだけど……。

 そういえば……。

「二人は何してたの?」

 教室で別れたから、二人が何をしていたのかが分からない。

 それに私、準備手伝ってない……。

「僕たちは講堂の中の飾りつけしてたんだよ~。」

 和向君が相変わらずのにこにこ笑顔で答えてくれる。

「しーちゃんは~?」

 そう聞かれて、何て言おうかうーんと考える。

 あれは理事長に呼び出されてって言えば良い、よね?

 嘘じゃないし、魔術師の事を言うわけにもいかないし。

「理事長に呼び出されてたんだ。」

 私がそう言うと、何故かその時疾風君が思い出したようにある事を口にした。

「栞って確か草薙創と一緒にいたよな?」

 あ、見られてたんだ……。

 でも考えてみると、見られてるのは当たり前だよね。

 なら、言ったほうが良いかな?

「うん。理事長の話が終わった後に、校舎案内をしてもらったの。」