最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

「分かりました。魔術師として精一杯させていただきます。」

 私は“生徒”としてでなく、“魔術師”として来ているから本業はそっち。

 そう言うと、理事長は困ったように眉をひそめた。

「いや、魔術師としてこの学園に通ってもらいたくないんだ。」

 ……え?

 じゃあ、私は何の為にここに来たの……?

「意味が、分かりません。」

 思った事を口にする。

 魔術師としてじゃなかったら……どういう事なの?

 すると理事長の口角がゆっくりと上がった。

「生徒、として通ってもらいたいんだ。」

 ……生徒として?

 それが何を意味しているのか、私には分からない。

 ……だけど。

「ありがとうございます。」

 嬉しかった。

 そんな些細な言葉のはずなのに、感極まった。

 何だかここに来てから、嬉しくなってばかりいる気がする。

 私が嬉しさの余韻に浸っていると、理事長が手を叩いた。

 その音で、はっと我に返る。

「よし、この話は終わりだ。次は校舎案内をさせてもらうよ。」

 校舎案内……!

 まだまだこの学園については謎な事が多いから、学園内の事を知れる校舎案内は楽しみだった。