最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ～学園編入は溺愛波乱の幕開け～

「俺たちは行くけど……栞は何か言われたのか？」

　疾風君にそう聞かれ、理事長との会話を思い出す。

　確か理事長室を出る間際、ぼそっとこんな事を言われた。

『入学式準備の時にまたここへ来てくれ。』

　意味は分からないけど、とりあえず向かわないとダメだよね。

「うん。私も行かなきゃならないところがあるから、また後でね。」

　二人と教室で別れてから、私は理事長室に向かった。



　今朝来たところをまた歩く。

　何だろう？　何かやる事がある、とかかな？

　魔術師としての任務内容をまだ言われてないから、その話の可能性も。

　うーん、考えても分からない。

　とにかく早く理事長室に行って、理事長に聞いてみよう！

　私はそう意気込んで速足で向かった。



　朝同様、ノックをして中に入る。

「失礼します。」

　理事長室に普通は何回も来ないから、少し緊張している。

　だけど、理事長が私の正体を知っているんだったら来る回数もきっと増えるよね。

　そんな事を考えながら中に入る。

　理事長室の中には、優雅に資料に目を通している理事長の姿が確認できた。

「やぁ神菜さん、今朝ぶりだね。」

　突然本名で呼ばれ、全身がビクッと震えた。

　きゅ、急には心臓に悪いです……！　理事長……！

　でもそんな事は口に出さず、頑張って心の中で留めておく。