最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 だが、俺は次の栞の言葉に驚くことになる。

「あ、あんまり知らないかな……。」

「はぁ!? 栞、元宮神菜知らないのか!?」

 俺は栞の返答につい、そんな言葉を返した。

 ありえない。元宮神菜は相当な有名人だ。

 流石に人間でも多少なりとも知っているだろう。

「もしかしてしーちゃん、あんまりテレビとか見ない?」

 和向も俺同様、驚いてそんな質問を投げかけている。

 メディアには毎日のように取り上げられているのに……世間知らずにも程がある。
 
「ど、どうしてそこまで驚くの?」

 俺たちの勢いに驚いたであろう栞が目を丸くして聞いてくる。

 はぁ……栞の為に教えてやろう。

 俺はその後、元宮神菜がどうして有名なのかを軽く語った。

 それでも理解できていない様子だったから、和向が補足を入れてくれようやく納得したような栞。

 だけど説明している間、栞の顔は何故か引きつっていくばかりだった。

「へ、へぇ。そうなんだ、初めて知ったよ……。」

 ついには震え声でそう言う始末。

 こんなの、隠し事をしていると言っているようなものじゃないか。
 
 でも面白そうだし、人間の研究も兼ねて一緒にいてみるか。栞っていかにも絡まれそうだし。

 俺はひっそりと、心の中でそう思った。