最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 新さんには、ただ呼び出されることがある、としか言わず、新さんもその事については詮索してこなかった。

 でも、それだけでも随分心が軽くなったように感じる。

「それだけか?」

 新さんが優しい声色でそう聞いてきたけど、これ以上は……ダメだよね。

「はい! それだけ、です……!」

 少しぎこちなくなってしまったけど、新さんに笑みを返す。

 新さんはまだ心配そうにしているけどすぐに「そうか。」と短い返事をくれた。

 これ以上甘えるわけにはいかない。これは私の問題なんだから。

 自分にそう言い聞かせ、新さんと分かれて家路につく。

 新さんの「頼れ」という言葉が脳内で何回もリピートされる。

 今まで頼られる側だったから頼れって言われたの、すっごく嬉しい……。

 そんなことで一人頬を緩ませながら、私はまっすぐ家に帰った。

 ――まさか、あんな事が起きるだなんて考えもせずに。