最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 まぁ和向は人と関わるのが嫌いだから、知らなくても仕方ないのか。

「お前があだ名で呼んだからだろ。」

 そう返すと、和向はまだ不思議そうにしながらも栞のほうに向き直った。

 っていうか、あだ名って普通だろ。

 そう思ってふと栞に目を向けると、喜んで頬を緩めているように見えた。

 ……なんか、おかしな奴だな。

「お前、あだ名で喜ぶとか幸薄いのか?」

 つい口を突いて出てしまった発言に、栞が俺のほうを向く。

「えっと……。」

 何を言おうか悩んで、黙ってしまった栞。

 ……そうだ、自己紹介しないとな。

「俺は戌待疾風だ! 獣の犬族。よろしくな、栞。」

 出来るだけ元気にした、んだけど……。

 何か……凄い驚いてる?

 もしかして、勢いよく言いすぎた?

 栞って大人しそうだし、もうちょっと静かにしたほうが良かったんだろうか?

 その後、栞が何かに気付いたような素振りを見せた。

 「戌待って……。」と栞が呟いて和向が教えている。

「柴先生は疾風のお兄ちゃんだよ~。」

 和向の言葉に理解できたのか、「あぁ……!」と納得したような顔でいる。

 ……なんか、感情豊かだな。