最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 その後に栞が席に座ったところで、兄貴が話し出す。

 といっても基本緩い兄貴は堅苦しい話をするわけでもなく、軽く話すだけで教室を出て行ってしまった。

 はぁ、兄貴も変わらないな。

 弟の立場からするとあーいう兄貴は嫌いじゃないが、キャラがブレる事があるから恥ずかしい。

「ねぇねぇ。」

「ひゃい……!?」

 俺がそんなことを考えている内に、和向が栞に話しかけていた。

 驚いて変な声を出した栞は、恐る恐る和向のほうを向いている。

「な、何でしょうか……?」

 同級生に敬語って……どれだけ緊張してるんだよ。

 でも、和向相手に媚びないんだったらまだ良いやつかもな。

 和向は俺の気も知らず、栞に自己紹介をしている。

「あ、あだ名!?」

 そんな大きな声が聞こえて、俺のほうが驚く。

 多分、和向が栞のことを何らかのあだ名で呼んだんだろう。

 それだけで驚くなんて……変な奴。

 だが、自然に笑みが零れていた。

「疾風、どうしてしーちゃんこんなに驚いてるの~?」

 だけど、その瞬間に不思議そうに聞いてくる和向にため息が出た。

 こいつ……何にも分かってない。