だから父さん、あんなに必死だったんだな……と、今となっては理解ができる。

 だけど僕は、神菜を“魔術師”じゃなくて“好きな子”として迎え入れたい。

 その為に今まで頑張って努力したし、ベストな結果を残してきた。

 今まで進んで入らなかった社交界にも自分から足を踏み入れ、人脈を築き上げてきた。

 ……でも、どうしても一番にはなれない。

 その理由は僕の因縁の相手、神々新がいるから。

 神々は何をやってもトップに君臨し、余裕の表情で立っている。

 なのにあいつはそんな事気にしないとでも言いたげに、いつも無気力そうにしていた。

 それにあいつはAnarchyだから、嫌う対象でもある。

 人外だなんて、人間と大して変わらない。

 ずっとそう言われてきていたから、自然とAnarchyの奴らは敵として認識してしまう。

 でも、それでいいんだ。

 僕には咲空も成生も皐月もいる。一人なんかじゃない。

 神菜もきっと、頑張ってるよね……。

 元気がない時はいつもそうやって自分を奮い立たせていた。