その時に、僕は彼女と出会った。

 族長の息子という事で、神菜は僕のところに挨拶に来てくれたんだ。

『元宮神菜です。よろしくお願いします。』

 そう言って愛想よく笑ってくれた彼女に、僕は心臓を撃ち抜かれたような衝撃に陥った。

 最初は全く持って理解できなかったけど、神菜が帰っていく間際に気付いたんだ。

 ……僕は、元宮神菜が好きだって。

 僕は人間には興味がない……いや、嫌いだ。

 人間なんて醜いものばかりで平気で人を裏切る悪質な生物。

 小さな頃から来栖家の御曹司としてパーティーにも参加していたけど、やっぱり人間は嫌いな対象だった。

 だけど……神菜だけは違った。

 神菜はこっちが嫌っているのにも関わらず優しく声を掛けてくれた。

 依頼の間は僕の家にいたけれど、自分から率先して何事もしていてその姿が好きだった。

 ……人間に、恋をしたんだ。

 神菜はそれに加えて可愛すぎる容姿を持っていたから、僕以外にも狙っている輩がいる。

 よくよく調べてみれば、魔術師はその種族の味方に付くと安泰が約束されるらしい事にも気付いた。