その実力行使があのいじめだった……って、事だよね。

 来栖さんはそこまで言ってから、今度は少し悔しそうにする素振りを見せた。

「それなのに……君は全く動じなかった。人間は脆いものだって教えてもらってたから余計に悔しくて……不思議に思ったんだ。何でこの人間は平気なんだろうって。」

 ……嫌な予感、再来する気配が。

 来栖さんは私のことなんて気にしておらず、まだまだ話を続ける。

「それで今度はどこまで耐えられるのかなって思っちゃった。だから君のことはストレス発散玩具にしようとしたんだ。でも同じ事してたらつまらないからね……」

 一旦そこで言葉を切り、息を大きく吸って再び口を開いた来栖さん。

 その表情は……狂気に満ちていた。

「こうやって予め言っておいて、もっときついいじめをしようって考えたんだ。」

 その途端、来栖さんから何とも言えない狂気的なオーラが見えた。

 ……人が違うみたい。

 そう私は悟り、来栖さんの狂気じみた顔を見る事になってしまった。

 でも、こうやって言われたからには今までよりきついものがあるって事だよね。