整った顔には笑みが浮かんでいて、怪しい雰囲気を醸し出している。

 ……誰だろう、この人。

 警戒心が急上昇した私に、その人はこう呟いた。

「やっぱり地味だね、この学園にはふさわしくない。それに人間、かぁ……、編入生がこんなんじゃあ学園の評価も落ちる一方だと思うけど。」

 うっ、地味に心に突き刺さるセリフが飛んできた……。

 それに初対面の人に向かってこの言い草は、酷い気がするけど……なぁ。

「……何の用、ですか?」

 文句を言いたい気持ちを抑えて、苦笑いをぎこちなく作る。

 私の問いに、目の前の人はふっと不敵な笑みを浮かべた。

「あーあ、君が隠れるのが上手すぎて暇だったんだよね。学食堂まで行ってもいる気配なかったし。」

「学食堂? ……あっ。」

 一つ心当たりがあって、ポンッと手を打つ。

 確か疾風君たちと学食を食べてたら、突然名前を呼ばれて隠れたんだっけ。

 あの時呼んでたのが、もしかしてこの人……?

 妙に納得して、うんうんと頷いて確かめていると目の前の人は小さくため息を漏らした。