今日、学校につくとある噂が立っていた。

 《人間の編入生が来る。》と。

 その言葉で俺は不意に昨日の兄貴の言葉を思い出した。

『明日からお前のクラスに、編入生が来るから仲良くしろよ。』

 あの言葉は本当だったのか?

 昨日はそんな事あるはずない、と思っていた。

 理由はこの学園が魔族や人外専門の学園だから。

 人間なんて、ありえるはずがない。

 それに編入試験のレベルが高すぎる故、この学園は初等部や幼年部から入るのが普通だ。

 そう考えると、尚更現実味がなくなる。

「編入生、しかも人間なんてありえるのか?」

 和向にそう話しかけてみる。

 俺の言葉に和向は少しだけ考える素振りを見せた後、こう口にした。

「う~ん、来たら来たで面白くなりそうだけどね~。流石に噂じゃないかな~。」

 ……こいつが、まともな事言ってる。

 いつものほほんとしていて今回も変な事を言うかと思いきや、案外まともな事を言った。

 でも、確かに一理ある。

 兄貴が嘘を言うとも思えないが、それ以上に編入生の存在が信じられない。