最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 ワイルド系の人で、何だか不良さんみたい。

 ちょっと怖いけど、悪い人って感じではなさそう。

 何て言おうか迷っていると先に彼が口を開いた。

「俺は戌待疾風(いぬまちはやて)だ! 獣の犬族。よろしくな、栞。」

 突然呼び捨てで呼ばれて、びっくりする。

 男の子に呼び捨てされるのって……何だか新鮮だ。

 疾風君は元気な人みたいで、こっちまで元気になれそう。

 あれ、でも戌待って……。

「柴先生は疾風のお兄ちゃんだよ~。」

 と不思議に思っていた私に、和向君がナイスタイミングで教えてくれた。

 やっぱり……!

 もやもやがすっきりしたと同時に、私はある事を思い出した。

 挨拶、しておかないと……!

「よ、よろしくね。二人ともっ!」

 笑顔を浮かべて二人にそう言い放つ。

 友達、出来てよかった……。

 でももしかしたら、二人は友達だと思ってないかも……。

 ……ううん、大丈夫。きっと。

 嫌な考えを払拭するように頭を左右に振り、消し飛ばす。

「でも、栞はどうしてこの学園に編入できたんだ?」

 そんな何気ない疾風君の言葉に、あからさまにビクッと肩が震える。

 あ、どうしよう……何て言い訳すれば……。

「僕も気になってたんだよね~。」

 和向君もそう言ってしまい、急いで頭をフル回転させる。