最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 そんなよく分からない葛藤をしていると、右隣の人から声を掛けられた。

「ねぇねぇ。」

「ひゃい……!?」

 急に呼ばれてしまって、つい素っ頓狂な声が出てしまった。

 急いで声のしたほうを見ると、そこには一人の男の子が。

 ふわふわの茶髪でパッチリな黄緑色の瞳。

 可愛い系の顔立ちをしていて、ブレザーの代わりにライトブルーのベストを着ている。

「な、何でしょうか……?」

 恐る恐るそう聞くと、彼はにこっと微笑んでから自己紹介をしてくれた。

「ふふっ……急に話しかけちゃってごめんね。僕は夜目和向(よるめなごむ)だよ~。獣の猫族なんだ~。よろしくね~、しーちゃん。」

 和向君はふわふわした話し方をしていて、癒し系なんだろうなと悟る。

 それにしても、しーちゃんって……。

「あ、あだ名!?」

 そう聞くと、和向君は首を縦に振った。

 その反応に、私の心臓は嬉しさのあまり跳ねていた。

 あだ名なんてつけてもらったことないから、例え本名のあだ名じゃなくても嬉しい。

「お前、あだ名だけで喜ぶとか幸薄いのか?」

 その時、和向君の後ろにいた男の子にバッサリとそう言われてしまった。

 視線を彼に向けると、淡い青髪に切れ長のスカイブルーの瞳をしている人と視線がぶつかる。