「悩んでそうな顔してたから、どうしたのかな~って。」

「あぁ、結構険しい顔してたぞ。」

 うっ、私ってそんなに顔に出やすいんだろうか……。

 それに和向君だけじゃなく疾風君にも言われてしまった。

「何悩んでたんだ?」

 疾風君がいつもの声色でそう言ってくれ、うっと言葉に詰まる。

 流石に、この悩みは言えない……。

 邪気魔力が移動しているかもしれない、なんて言ったらまず意味不明だし、元宮神菜だとバレてしまう。

「そ、そんなに悩んでたように見える?」

 良い返答が思いつかず、そう言って躱す作戦に出る。

 でも自分でも言われるまで気付かなかったから、悩みらしい悩みでもないのかもしれないけど。

 あははと笑って言うと、二人とも首を縦に振った。

「うん! してたよ~!」

「和向と同意見だ。」

 ……えぇ、まさかの肯定ですか。

 ならもう……。

「悩みなんてないよ。だから全然大丈夫だから……!」

 ない、と言い切るしかない。

 不審がられるかもしれない、なんて心配をしながら二人の返答を待っているといつもの二人の声が聞こえてきた。