確かにテストが楽しみなんて人、いないかもしれないけど……私にとっては嬉しすぎるものだった。

　だけど、少し不思議に思う事がある。

　それはどうして疾風君がここまで露骨にテストを嫌っているか、という事。

　和向君はいつもと変わってないのに、疾風君の周りの空気が重たいものになっている。

　何でだろう？と考えていると、そんな私の胸中を察したのか和向君が教えてくれた。

「疾風はね、体力テストは好きだけど頭を使うのが嫌いなんだよね～。だから定期考査はあんまり好きじゃないんだ～。」

　その説明を聞いて、どうしてか妙にしっくりとくる。

　確かに失礼だけど、疾風君が勉強好きなイメージは私にはない。どちらかと言うと体育会系に見える。

「あー、定期考査消えてほしい……絶対今回も赤点だろ……。」

　いつもの疾風君らしくない声が聞こえてきて、相当嫌いだという事が伝わってくる。

　あはは……こんな疾風君は初めて見るなぁ……。

　どうにかいつもの疾風君に戻せないかな、と唸っていると突然和向君が思いついたように口を開いた。