明らかに栞の周りの空気が変わってピリついた空気になり、栞の回答もおぼつかなかった。

 ……栞は、何を隠しているんだ?

 栞が何かを意図的に隠しているのは分かっている。だが、その肝心の何かが分からない。

 もう一回、思い出してみるか……。

 俺は今日の出来事を頭の中で反芻し、確認する事にした。



 あいつらを呼び出し、いつもの部屋で待つ。

『新さん……! 突然呼び出しなんて、どうしたんですか……っ?』

 ガラッと扉を開けて入ってきたのは、急いできたであろう疾風と和向の姿だった。

『呼び出したのは、柊木栞のことについて聞きたいからだ。』

 この二人は栞と同じクラスだし、何かを知っていてもおかしくはない。

『……でもどうして、新さんはしーちゃんのことを知りたいんですか~?』

 やはり、それは聞かれてしまうか……。

 だがこの事も想定内だった為、そこまで驚く事はなかった。

『それは、俺が栞に興味が出たからだ。』

『『え……?』』

 本当の事を二人に伝えると、二人揃ってこれでもかってくらい目を見開いた。