「はい!」

 そう言って元気よく返してくれた栞に、自然と頬が緩んでしまう。

 栞は来てくれないかもしれない、なんて考えていたけどそれは杞憂に終わり会話をする事ができた。

 栞の瞳をもう一回確認したけど、やはり澄んでいて綺麗な瞳だった。

 それに加えて神々の名を聞いても、栞は態度を変える事なく接してくれた。

 あんな人間は初めてで驚きを隠せないが、それ以上に気が緩んでしまっていた。

 栞と会話出来た事に。栞とまた会えた事に。

 ほんの数日前に会っただけなのに、どうしてここまで栞のことを考えてしまうのかさっぱり分からない。

 だが……栞は、他の奴とは何かが決定的に違う。それだけははっきりと言えた。

 けれど、俺は栞のことを何も知らない。

 あいつらにも聞いたが、栞の謎は深まるばかりだった。

 さっきの涙の意味……あれが何を表していたか分からないけどやはり“あれ”は本当だったか。

 ……栞が、元宮神菜のことを話題に出すと雰囲気が変わる事。

 半信半疑だったが、さっきので確証がついた。