「これは……俗にいう“いじめ”ってやつだ。」

 い、いじめ……?

 それって……。

「私、何かしたのかな……!?」

 確かいじめって誰かが私のこと嫌いだからするもの、だったはず。

 じゃあ私、誰かに嫌われてるの!?

 そ、そんな……せっかく新しい学校に来たのに……。

 そんな私を見かねて、和向君がポンポンと頭を撫でてくれた。

「大丈夫。しーちゃんは悪い事してないよ~。」

 うぅ、そうだといいんだけど、自分が知らない内に何かしちゃってる可能性もなくはないから……。

 でも、そうだとしても何も思いつかない……。

「そうだ。お前は何にもしてない。」

 疾風君もそうやって、慰めの言葉をかけてくれる。

 そう言われてようやく「……うん。」と返事ができた。

「よし、これ消すか!」

 そう言って疾風君は一旦教室から出て、すぐに何かを持って戻ってきた。

 疾風君の手には白い雑巾が握られていて、湿らせてあるものだった。

「おっ、よかった。油性だったら消えないとこだったな。」

 そう言いながらごしごしと私の机を拭いていく疾風君。