「……うん。僕もびっくりしてるんだよね~。」

 僕自身、一番他人を簡単には信用しないって知っているから僕もそういう心境の変化についていけてない。

 でも、しーちゃんは絶対に悪い人じゃない、良い人だ。

 理由を求められたら困るけど……獣族の勘、って言ったらいいのかな。

 とにかく、明確な理由はないけどしーちゃんは“良い人”だって僕が思ってるから本当に良い人だと思ってる。

 例えしーちゃんが何かを隠していたとしても、嫌いにはならないだろう。

 だから……。

「しーちゃんは僕たちを騙したり、裏切ったりしないよ。」

 ぼそっと呟いた言葉なのに、疾風にはばっちり聞こえていたようで……。

「あぁ、そうだな。」

 そう言って微笑む疾風に、僕もつられて笑顔になった。

 きっと、しーちゃんは裏切ったりしない。

 僕の判断が正しいのかなんて分からないけど、今は僕の目に映っているしーちゃんを信じたい。

 僕はそう思って自分の部屋に入った。