僕と疾風としーちゃんは今、昇降口に向かって歩いている。

 しーちゃん、昨日は手続きが済んでいなかったらしいから、今日は一緒に帰れて嬉しい。

 ……それにしても、しーちゃんって謎が多いよねぇ。

 だってさっきから周りをきょろきょろ見てるし……何だかしーちゃん、何かありそうなんだよね。

 初めてしーちゃんを見た時、僕信じられなかった。

 この学園に編入はできないと言われていたのに、それを破って編入してきたんだもん。

 ましてや、人間とくれば驚くのは当然だよね。

 僕だって、そうだった。

 本当はしーちゃんと関わるつもりなんて、僕には全くなかったんだ。

 例え、席が近くであろうとも彼女を見るまでは話す事なんてしなかったと思う。

「柊木栞です。よろしくお願いします。」

 しーちゃんがそう挨拶した時、僕は直感でこう思った。

 ……この子は、何かが違う。

 僕の勘はよく当たるから、その考えは間違いではないと思う。

 それに……彼女から出ているオーラは、他の人とは違って穏やかな気がした。

 だから、興味本位で話しかけたんだ。