「しーちゃん、今日は帰れる?」

 和向君が首を傾げて聞いてくる。

 流石に、二日連続同じ言い訳はきついよね……。

 だったら……。

「うん。帰れるよ。」

 私は和向君にそう言った。

 昇降口までなら大丈夫だろうから、今日はその提案に乗る事にした。

 本当はここから移動したほうが仕事しやすいけど……。

「やったー! じゃあ帰ろう!」

 和向君はこれでもかってくらい喜んでいる。

 そんなに嬉しいのかな……私と帰れるのが。

 子供みたいなはしゃぎようで、クスッと笑みが零れる。

「行くぞ、和向、栞。」

 疾風君がそう言ってスクールバッグを手に取って扉に近づいた。

「はーい!」

 私も急いでバッグを持って教室を出た。