最強さんは魔術少女を溺愛したい。① ~学園編入は溺愛波乱の幕開け~

 ……理事長には隙を見せないほうが良い。

 お互いに探り合うような雰囲気になった時、理事長が話題を変える為に突然口を開いた。

「次は学園内の話に移るんだけど、神菜さんには2年S組に入ってもらうよ。あと……これを渡しておくよ。」

 そう言われて渡されたのは、少し厚さがある革のカバーに入った小さな液晶だ。

「これは……?」

 不思議の思って理事長に聞く。

 小型で可愛いけど……何に使うんだろう?

「それは生徒手帳だよ。非常事態の一斉連絡手段としても使うんだよ。」

 理事長のそんな言葉を聞いて、私は妙に感心してしまった。

 へぇ……何だかハイテクだなぁ。

 私はそう思いながら、生徒手帳を落とさないように胸ポケットに入れる。

「説明は以上で終わりだが……入学式準備の時にまたここへ来てくれ。“栞”さん。」
 
 ……やっぱり、掴めない人だ。

 栞という名前は本名を隠すために政府からもらった名前。

 “柊木栞(ひいらぎしおり)”。これが私の偽名。

 外に出るときは、いつもこの名前を使っている。

 今から私は、栞にならなくちゃいけない。

 ……やるからには、精一杯やらせていただこう。

「理事長、ありがとうございました。」

 私は理事長にお礼を言って、私はその場を後にした。