恋がはじまる日


「え!?」


 突然の質問に私は大袈裟に反応してしまった。


「こっ恋人!?ち、違います!ただの幼なじみです!」


 昇降口へと向かう生徒達が一斉に振り返る。

 私は慌てて口元を手で押さえると、声を小さくして言った。


「小さい頃から一緒で、えっとあの、幼なじみです…」

 そう伝えると先輩は、「そうなんだね、驚かせちゃったみたいでごめんね」と言った。


 こ、恋人だなんて、私と椿ってそういう風に見えたりすることもあるのかな?この前藤宮くんにも似たようなことを聞かれた気がする。


 驚いたり慌てたりしたせいなのか、なんだか頬が火照っている感じがして、私は両頬に手を当てる。


「じゃあ、帰ろうか」

「あ、はい!」


 先輩に促され、私達は昇降口を後にした。