五月も半ばを過ぎた頃。快晴の日が続き、次第に暑いと感じる日が多くなってきた。
ついこの前まで桜が咲いていたと思ったけれど、あっという間に新緑の季節だ。
気が付けば高校二年生になって初めての中間試験まで、残すところ一週間を切っていた。
テスト前期間ということで、しばらくは部活動もお休み。強制的に勉強に励まなくてはならない期間へと突入した。
日頃からそこそこ勉強しているつもりではあるけれど、一週間前となるとなんとなく焦ってくる。ちゃんと勉強できてるよね、大丈夫だよね。
部活動の忙しさを言い訳にして、勉強を疎かにしていたなどと母に知られたらそれはもう大変である。考えただけでも恐ろしい。
とにもかくにも残り一週間!ラストスパートだ。
英語はとても自信があるけれど、数学が少し不安かなぁ。
文系はいつもそれなりに点数を取れている。しかし数学は一年生の後半から少しずつ不明瞭な単元が増えていき、どちらかと言うと苦手な方だった。
放課後。鞄に試験勉強に必要な教科書や問題集を詰め込みながら、数学の苦手分野をどう対処したものか、と思案しているとふと思いついたことがあった。
そうだ、数学得意な子に教わればいいんだよ!一緒に勉強すれば楽しいし、苦じゃなくて一石二鳥じゃん。我ながらとても名案。何事も楽しくやるのが一番だよね!
そう閃き、早速前の席で同じく帰り支度をしている幼なじみの椿に声を掛けてみた。