藤宮くんに「一緒に帰ろう!」と勇気を出して誘ってみると、「委員会の用事があるから少し待っててくれるか?十分くらいで戻る」とのことだった。
「うん!待ってる!」
私の返事を聞いた藤宮くんは、少し目を細めて優しく微笑んだ。
気持ちを伝え合う前もたまに藤宮くんのこの表情を見たことがあった。けれど、今なら少し分かる。この表情は、私を好きだと思ってくれている表情だったのだ。私を大切にしてくれている顔。なんて、そうだったらいいな、と思う。
頬は昨日から熱くなってばかりだ。動悸と緊張は、まだ落ち着きそうにない。
藤宮くんは、いつから私のことを好いていてくれたのだろうか。
気になっていたとは聞いたけれど、正確にいつ好きになった、とかは教えてくれなかったな。自然と?気が付けば?みたいな感じかな。それはそれで大変恐縮ではございますな。
藤宮くんが出て行った教室で、私は一人小さく笑った。



