「大丈夫。俺がちゃんと説明して納得してもらうから。なんなら菓子折り持って挨拶に行ってもいい。」
紗奈の頬をふわっと撫ぜながら要は決意を新たにする。

「えっ!そんな事したらお母さんびっくりして倒れちゃいますよ。
ダメです。他の方法を考えましょう。」
慌てて紗奈は要を止める。

「俺はこの先ずっと紗奈と一緒にいたい。
だから、紗奈の家族や周りの人達にも誠実でありたいと思ってるから。」
要の真剣な眼差しを見つめながら紗奈はとても心配になった。

まだ、昨日の今日で気持ちも混乱しているし、先生と生徒の関係で一緒に住むのは許される事では無いと思う。
こう言う関係になれて嬉しい反面、後ろめたくもなる。
それに要の隣にいるのが、こんな自分でいいのかと不釣り合いなのではと思う思いも強い。

紗奈はいろいろ心配になって俯く。

「紗奈、顔あげて。
全部俺の責任だ。学校に対しても、ご家族に対しても俺が全て引き受ける覚悟はあるから、心配しないで。
学校もちゃんと卒業させるし、親御さんを心配させないようにちゃんと向き合うから大丈夫。」

要の決意はとても堅いらしい事だけは分かった。

「私は、子供で先生に何も返せないのが悔しいです…。どうするべきかも迷ってしまいます…。」
要は優しく笑いながら、

「紗奈は俺の隣にいてくれればいい。」