青春の備忘録

 「よし、じゃあ一通りやってみましょうか」
 「はい、お願いします」
 私は一息吸って、歌い始めた。
 リハーサルとはいえ、少し緊張感がある。
 一曲目を歌い出した頃からすでに、校舎の窓や渡り廊下には観客がいた。
 もちろん、目の前には良太たちもいるし、見回してみると、なんと教員もいる。
 予想外の観客の多さに少し失敗するところもあったが、練習としては悪くなく、校舎全体から拍手が湧きあがった。
 私も彼らに応えるように一礼した。
 二曲目は軽くサビだけ演奏してチェック終了。
 「ありがとうございました」
 ギターとマイクを片づけてステージを降り、足早に良太たちの元へ戻る。
 「上原くん、ありがとう」