「えー、1組の田川さん、田川日向子さんはいますかー」
 私はハッと顔を上げて、声の聞こえた方にくるりと上半身を向け、腰を浮かせた。
 「あ、田川さんはー、そこにいてもらって大丈夫なんで」
 教卓に、見覚えのない男子生徒が2人いた。
 明らかに自分のクラスの人ではなかったが、テンションの高さから、もしや……と思った。
 「俺たちは〜、8組だぜ〜、もうやる気しかしね〜ぜ〜」
 私は、予想通りだ、というように目を閉じた。
 クラス中のみんなが私を見ている。
 この人たちは誰なのか、どうして教室に入ってきたのか、何がしたいのか。
 「そこのお二方、一旦教室から出ましょう。お話なら外で……みんな、ごめんね。なんだか急にうるさくしちゃって」
 私は軽く会釈をして、突如教室に入ってきた2人を連れて、廊下へ出た。