「あの、近藤くんいますか」
 私は真っ先に、8組に行って颯を呼んだ。
 サッカー部の男子生徒が、
 「颯、田川さん来たぞー!」
 と大きな声で呼ぶ。
 「いや、あのそんなに呼ばなくても……」
 私は少し驚いたが、彼は
 「あいつ、田川さんのこと好きらしいっスよ」
 とだけ言って、去っていった。
 入れ替わるように颯が目の前に現れる。
 「あの、色々助けてくれてありがとう、あといつも話してくれてありがとうね」
 私はそう言って、紙袋の中に入れていた3本の束にしたスプーンチョコを渡す。
 「ありがとう」
 颯はそれだけ言って受け取った。
 「よかった、いつか何かお礼として渡したかったから。じゃあね」
 私は9組へ向かった。