私は何と答えるべきか迷った。
 雑巾を洗いに行っている「そこ」には、うちのクラスにはいないような人ばかり。
 もし一緒に行ってしまったら、梨沙にまで迷惑がかかってしまうのではないかと思った。
 「私が雑巾を洗いに行ってるのって、向こうの、8組とか9組の方で……ちょっと騒がしいけど、梨沙ちゃんがそれで大丈夫だったら」
 私は苦笑いをして廊下から見える校舎の向かい側を指した。
 梨沙は、
 「え!日向子ちゃんって向こうの人たちとも仲良いの!?行きたい行きたい!」
 と目を輝かせていた。
 私はホッとする反面、
 「いやいや、顔見知り程度だけどね。じゃあ、行こう」
 と言って、梨沙を連れていつもの道を通った。