その後無事公立大学に合格し、そして大学進学で上京した。
 それからというもの、何気なく大学生活を頑張っていたが、どこか時々、彼──上原良太のことを思い出すときがあった。
 彼のことを忘れようと、あるいは単純に恋人を作ろうと、出会いに躍起になったこともあったが、私は誰かに出会うたびに、その人と良太を比べていた。
 思い出になろうとも、いつまでも、いつまでも忘れられない。
 心の片隅にある、不思議で、大切な記憶。
 時々空を見上げて思う。
 彼は今どうしているか、元気でいるだろうか、幸せだろうか。
 私は今、幸せにやっている。
 あの不思議な3年間が、私の動力源となるときがある。
 もし、またあなたに逢えたなら──そんな日が来ることを夢見ながら。